皮膚は考える

| | コメント(0)
皮膚は考える (岩波科学ライブラリー 112)
皮膚は考える
(岩波科学ライブラリー 112)


「皮膚は考える」(傳田 光洋)を読んだ。

目次をざっと見るだけでも、とても面白い。
科学が苦手(というか、科学の授業を最後に受けて×年?)の私でも、楽しく読めた。
苦手分野で書評も何もあったもんじゃないので、抜粋メモを。

(最終章の、松本元氏(「愛は脳を活性化する」著者)との出会いが、とても心温まった。
 偉大な人は、本当に偏見もないんだなあと。)


・皮膚はそれ自体が独自に、感じ、考え、判断し、行動するものです。
・皮膚は電池になっている。
・個々の細胞は一般的に外側と内側に電位差、それも数十ミリボルトの電位差を「作って」います。→「イオンポンプ」

と呼ばれる分子装置による。
・イオンポンプとイオンチャンネルの働きを妨げる薬品を入れると、皮膚の表裏の電位差はなくなる。
・皮膚の表面電位は、セロテープで角質をはがすと消滅する。
 正常な皮膚ではカルシウムイオンが角質の直下に高濃度に分布、
 アトピー性皮膚炎、乾癬、老人性乾皮症ではカルシウムイオンが表皮に一様に分布。
・正常皮膚の表皮ではカルシウムイオン、マグネシウムイオンが角質直下に高濃度で分布、
 カリウムイオンは角質直下では濃度が低い。
 セロテープで角質を破壊すると、即座にこの各種イオンの偏在が消滅する。
・正常な皮膚では、イオンポンプ・イオンチャンネルの働きで表皮の深さによってイオンの偏在が起きる。
 角質バリアが破壊されたり、アトピー性皮膚炎などの疾患では、このイオンの偏在がなくなり、表皮の表裏の電位差がなくなる=放電してしまって電池切れの状態。
・健康な皮膚ではダメージを受けてもイオンポンプが作動し、イオンの偏在が回復するが、アトピー性皮膚炎などでは、

この表皮内のイオン濃度の後輩が維持できず、慢性的なバリア機能の低下が起こると考えられる。
・加齢に伴い、皮膚の表面は乾燥し、ひび割れが出来る。
 角質の厚みは、若年層とさして変わりはないが、堆積する各層の層の数が増え、角質で保湿機能を担うアミノ酸の原料になるケラトヒアリン顆粒が減っている。
 ↓
 これらの加齢変化の要因の一つが、カルシウムイオン濃度の後輩の喪失では?
 ↓
 若年者の表皮内:角質の真下に偏在
 高齢者の表皮内:分布が一様
 ※カルシウムイオンは細胞の接着や分化の促進に大きな影響

・では、外から皮膚に電気をかけるとどうなるか?
 →マイナスの電場を負荷→バリア機能の回復
   ※例の脂質を含んだラメラ顆粒の放出が促進
   ※表皮内のカルシウムイオン、マグネシウムイオンの分布も正常に近い分布に戻る(ケラチノサイトには電位を感じるチャンネルがある)
 →プラスの電場を負荷→回復が遅れる

・電気の作用で皮膚の再生を促進する素材→硫酸バリウム(結晶系が揃っていて板状になっている硫酸バリウムにより良い効果)
 板状硫酸バリウムは、皮膚表面でマイナスの電場を形成する。

・皮膚は免疫を司る最前線の臓器。身体のホルモンバランスにも影響している。
・ランゲルハンス細胞(角質が破壊されると、数が増える)
・皮膚のバリアが破壊される
 ↓
 ケラチノサイトがサイトカイン(炎症を誘発する)を合成
  ・サイトカインIL-1アルファ(普段から角質の直下にある)はダメージの瞬間に放出される
  ・サイトカインNGF(神経成長因子)とアンフィレギュリンはバリア破壊後に合成が始まるが、プラスティックの膜で覆うと、その合成が止まる。→表皮の水透過機能をモニターしながら調整されている。
 ↓
 表皮が継続的にダメージを受ける。または紫外線・化学物質による刺激、湿度の低下、慢性の表皮増殖性異常を伴う皮膚疾患(アトピー性皮膚炎など)
 ↓
 恒常的にサイトカインの合成が高まる
 ↓
 NGFが放出され続け、皮膚はいよいよ敏感に
 また、サイトカインは免疫系のシステムにも作用、間接的に中枢神経系にも影響を及ぼす
 ↓
 つまり、皮膚表面の角質の状態が、身体全体の健康に影響する可能性は大。

・ケラチノサイトはホルモン・神経伝達物質を合成する
 ・カテコールアミンの合成・分解機能のすべてを有す
 ・ACTH、サブスタンスP、ベータエンドルフィン(快楽ホルモン)も合成
 ※皮膚でベータ・エンドルフィンを合成しても、脳の手前に血液関門があるため、脳の中に入れない。
  ベータエンドルフィンの受容体がケラチノサイトにあることが分かってきた。表皮が皮膚の中での情報伝達に使っている可能性あり。

・アトピー性皮膚炎の心の問題
 外見を気にするため、と説明されてきたが、
 表皮の増殖性異常の状態で、サイトカインを放出していることから、
 皮膚の状態が異常になることによって、正常な皮膚では作られない物質が作られたり、健康な表皮が作れる物質を作れないことにより、精神状態に影響を及ぼしている可能性がある。

・表皮は外胚葉由来。⇒表皮と中枢神経系は同じ外胚葉に属していた。

・イオンチャンネル内蔵受容体(細胞膜にあり、刺激を受容すると特定のイオンを細胞内に透して、その結果電気的な信号を発生させる装置)
 ・TRPV1(摂氏43度以上の温度、pH6.6以上の酸性条件、カプサイシンによって作動し、細胞内にカルシウムイオン・ナ

トリウムイオンを流入⇒「痛い!」
  ※表皮を形成するケラチノサイトにも発現しているすることがわかった
   ⇒いままでの考え:熱→神経抹消(TRPV1が発現している)→痛み
   ⇒新しい考え:熱→皮膚→痛み
 ・温度感受性を有す:TRPV3(摂氏32?39度以上でカオチンチャンネル(陽イオン)が開く),TRPV4(浸透圧の変化、機械刺激、27?35度以上でオチンチャンネル開く)

・カオチンチャンネル内蔵受容体P2X3(ATPがくっつくとカオチンチャンネルが開く)⇒表皮にも存在した!
・ATPが存在すると、TRPV1の温度感受性の閾値が35度にまで低下する。→日焼けしているときにぬるま湯でも痛いのはこのため。

■ここまでのまとめ:皮膚感覚の最初の受容機構をケラチノサイトが担っている可能性が高い


・表皮ケラチノサイトを興奮させるとバリア回復機能が遅れ、逆に興奮を鎮めると回復が早まるのでは?
・カルシウムイオノホアを塗る→細胞内にカルシウムイオンが流入→バリア回復が遅れる(ラメラ顆粒の中身が細胞内に出せれる作用が止まっている)
・塩素イオンのイオノホアを塗る→塩素イオンが流入→バリア再生が促進(ラメラ顆粒はほとんど見当たらず、細胞間隙に押し出された脂質が厚くたまっているのが観察された)

・セロトニンの受容体を活性化させる薬剤を塗る→バリア再生の促進
・メラトニン受容体を活性化させる薬剤を塗る→バリア再生の促進
・ドーパミンの受容体(?型)活活性化の薬剤を塗る→バリア再生の促進

■つまり、神経情報伝達物質で、細胞内カルシウムイオン濃度を直接・間接に上昇させるものは皮膚バリア再生を遅延させる。逆にカルシウムイオン濃度の上昇を抑えるか、塩素イオン濃度を上げるものはバリア再生を促進させる。
(ケラチノサイトを興奮させるとバリア回復が遅れ、ケラチノサイトの興奮を鎮めるとバリア回復が促進される)

・ケラチノサイトを長期適に興奮させる状態が続くと、表皮が異常に増殖する、つまり肌荒れ状態になる。その興奮を抑えると、肌荒れが改善され、皮膚のバリア機能が健全に保たれる。


・皮膚は環境と生体のインターフェイス。
・環境湿度が低下すると、角層バリア機能は向上するが、1週間程度の時間がかかる。
・環境湿度が一ケタ台になると12時間以内に、表皮ケラチノサイト細胞の増殖が速くなる。
 24時間以内に、角層直下で炎症を引き起こすサイトカインであるIL-1アルファの合成が始まり、免疫系の最前線にあるランゲルハンス細胞の数が増える。⇒外部刺激に対して敏感に。「臨戦態勢」

・お灸による温度刺激:表皮中のイオンチャンネル受容体TRPVを経て、電気信号として神経に作用。
  直接もぐさ⇒43度以上で応答するTRPV1、あるいは52度以上で応答する高温受容体TRPV2(神経末梢にある)
  ほんのり暖かいお灸⇒37度あたりで応答するTRPV3,4
 

コメントする

アーカイブ